この記事で分かること
- 過去1年で被害を受けた企業がどれだけあるか
- 対応している企業の割合と、その中身の差
- 自社の対策をどの順番で見直すか
セキュリティの対策を一通り導入し終えたとして、何が入っているかを項目ごとに言えるでしょうか。
被害を受けた企業は半分近い
総務省が令和7年通信利用動向調査の報告書を出しています。令和7年8月末時点の状況を、常用雇用者100人以上の企業に聞いたものです。発送6,040に対して有効回答は2,489、有効回収率は55.3%(企業編)。
第5章が情報通信ネットワークの安全対策です。過去1年間に発生したセキュリティ被害で何らかの被害を経験した企業は48.0%となっています(企業編)。
感染まで至るのは2.6%
被害の内容は、さらに分けて集計されています。最も高いのが標的型メールが送られてきたで31.7%。次がウイルスを発見または感染で22.8%です(企業編)。
ウイルスの内訳も分かれています。発見したが感染しなかったが20.2%、少なくとも1回は感染したが2.6%(企業編)。発見だけで済んだ企業が、感染した企業の8倍近くあります。
被害の割合は業種と規模で違う
産業分類別に見ると、何らかの被害を受けた企業の割合が5割を超えているのは五つです。建設業57.0%、金融・保険業56.1%、製造業53.9%、不動産業52.0%、そして情報通信業51.4%(企業編)。
従業者規模別では、規模が大きいほど標的型メールが送られてきたの割合が高い傾向にあるとされています(企業編)。人数が増えれば宛先も増えるので、順当な並びです。
送られてくる量は、自社では決められません。業種も規模も、明日変えられるものではありません。決められるのは、届いたあとの動き方です。
何らかの対策を入れている会社は98.0%
同じ章の後半が対応状況です。データセキュリティやウイルスへの対応として何らかの対応をしている企業の割合は98.0%(企業編)。聞いているのは、被害が起きたあとの処理ではありません。何を導入しているかです。
被害が半分近くで、対応がほぼ全部。この二つは矛盾しません。対応しているかどうかを聞いているだけだからです。何をしているかは、その下の項目に分かれています。
入口を塞ぐ対策より、記録を残す対策が低い
具体的な対応の割合が並んでいます。パソコンなどの端末にウイルス対策プログラムを導入が81.8%で最も高く、ID・パスワードによるアクセス制御が60.5%、サーバーにウイルス対策プログラムを導入が60.2%、社員教育が54.6%、ファイアウォールの設置・導入が51.8%と続きます(企業編)。
5割を下回るのは三つです。セキュリティポリシーの策定が48.1%、OSへのセキュリティパッチの導入が43.4%、アクセスログの記録が40.9%(企業編)。
入口を塞ぐものは高く、あとから直すものと、起きたことを残すものが低いという順です。端末のウイルス対策とアクセスログの記録には、倍の開きがあります。
金融・保険業だけ順番が違います。社員教育が94.7%で最も高く、他の産業では端末のウイルス対策が最も高い(企業編)。
明日からできること
自社で見るのは、対策の数ではありません。八項目のうち、どれがあってどれが無いかです。
まず、対応の項目を八つ書き出します。報告書に並んでいる順でかまいません。端末のウイルス対策、アクセス制御、サーバーのウイルス対策、社員教育、ファイアウォール、ポリシー、パッチ、ログ。自社にあるものへ印を付けます。
次に、印が付かなかったものを見ます。全国の割合で下の三つに入るのは、ポリシー、パッチ、ログです。ここが空いていれば、全国と同じ形で空いていることになります。
最後に、委託先へ同じ八つを聞きます。様式は何でもかまいません。八項目の名前を書いて送り、あるかないかだけ答えてもらえば足ります。返ってきた答えは、全国の割合とそのまま見比べられます。
被害の中身で最も多いのは、送られてきた段階のものでした。届く量は減らせませんが、届いたあとの動き方は決められます。