この記事で分かること

  • ランサムウェア被害のうち中小企業が占める割合と、入口の内訳
  • BCPを策定している組織のうち、サイバー攻撃を想定に含んでいる数
  • 止まってから決めると遅くなること

バックアップは取っています。事業継続計画(BCP)もあります。

そこにサイバー攻撃は書かれているでしょうか。

被害の6割は中小企業で、入口はメールではない

警察庁が、令和7年(2025年)に報告されたランサムウェア被害をまとめています。報告件数は226件(警察庁、令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について、2026年3月公表、p.13)

この件数は5年ほど動いていません。令和3年146件、令和4年230件、令和5年197件、令和6年222件、そして令和7年が226件です(同資料の統計データ、ランサムウェア被害報告件数の推移)

規模別では、中小企業が143件で63.3%。大企業が64件、団体等が19件でした(同統計データ、ランサムウェア被害の企業・団体等の規模別報告件数を当社が計算)

感染経路が分かっているのは92件です(同統計データ、感染経路)

ランサムウェアの感染経路 感染経路が判明した92件の内訳。VPN機器が61件、リモートデスクトップが19件、不審メールやその添付ファイルが2件、その他が10件。VPN機器とリモートデスクトップで80件、87.0%を占める。 ランサムウェアの感染経路(判明した92件) VPN機器 61件 リモートデスクトップ 19件 不審メールやその添付ファイル 2件 その他 10件 VPN機器とリモートデスクトップで80件、87.0%

VPN機器が61件、リモートデスクトップが19件。合わせて80件で87.0%です(同統計データ、感染経路の件数を当社が計算)

不審メールやその添付ファイルは2件でした(同表)従業員がメールに気をつけることでは、この87.0%は止まりません。

BCPを策定した64件のうち、サイバー攻撃を想定に含むのは20件

被害に遭った組織へのアンケートで、BCPの策定状況を聞いています。答えたのは111件です(同統計データ、図表11)

被害に遭った組織のBCPの策定状況 回答した111件の内訳。サイバー攻撃を想定に含むBCPを策定済が20件、サイバー攻撃を想定に含まないBCPを策定済が44件、BCPを策定していないが47件。策定済は合わせて64件だが、そのうちサイバー攻撃を想定に含むのは20件にとどまる。 被害に遭った組織のBCPの策定状況(回答111件) サイバー攻撃を想定に含むBCPを策定済 20件 サイバー攻撃を想定に含まないBCPを策定済 44件 BCPを策定していない 47件 策定済は64件。うちサイバー攻撃を想定に含むのは20件

BCPを策定していたのは64件です。そのうちサイバー攻撃を想定に含んでいたのは20件でした(同統計データ、図表11の件数を当社が計算)

原典の本文は「BCPを策定済の組織の割合は約18%」と書いています(同資料、p.16)この18%は、サイバー攻撃を想定に含む20件のことです。

バックアップは9割が取っていた

同じアンケートで、バックアップの取得状況にも答えています。116件のうち、取得していたのは105件、90.5%でした(同統計データ、バックアップの取得状況の件数を当社が計算)

それでも止まっています。原典は手口をこう書いています。「復旧を妨害するため、バックアップも一緒に暗号化される場合が多い」(同資料、p.15〜16)

もう一つ、バックアップでは足りない理由があります。手口が分かっている153件のうち、二重恐喝型が136件、88.9%でした(同統計データ、ランサムウェア被害の手口別報告件数を当社が計算)。データを暗号化するだけでなく、対価を払わなければ公開すると要求する手口です(同資料、p.13)

バックアップから戻せば、業務は再開できます。ただし、持ち出されたデータは戻ってきません。

復旧に要した期間に答えたのは107件です。1か月未満で戻せたのが60件、1か月以上かかったのが22件。そして集計の時点でまだ復旧中だったのが25件、23.4%ありました(同統計データ、復旧等に要した期間の件数を当社が計算)

費用のほうは、89件が答えています。調査費用の総額が1,000万円以上だったのは46件、51.7%です(同統計データ、調査費用の総額の件数を当社が計算)

ここまでの数字は、設問ごとに答えた数が違います(226件、92件、111件、116件、107件、89件)。226件すべてが答えたものではありません(同統計データの各表)

明日からできること

被害に遭った組織も、やってはいました。9割がバックアップを取っていて、6割近くがBCPを策定していました。それでも止まっています。

まず確認するのは、自社のBCPにサイバー攻撃の項目があるかです。

無ければ、二つ書きます。

  • 何日止まったら、事業が続かなくなるか
  • 調査と復旧に、いくらまで出せるか

BCPそのものが無い会社もあります。この調査では47件でした(同統計データ、図表11)その場合も、書くのは同じ二つです。それがBCPの一行目になります。

どちらも金額と日数で、止まってから決めると遅くなります。半分の組織で、調査費用が1,000万円を超えています(同統計データ、調査費用の総額)その決裁は、止まっている最中に回ることになります。

そして入口はVPN機器とリモートデスクトップです。その機器を持っているのが自社か、委託先か。まずそこから確かめます。