この記事で分かること

  • 新しく登録した人数と、増えた人数が合わないこと
  • 合格した人の数と、登録している人の数がどれだけ開いているか
  • 相手を探す前に、自社で書いておくこと

セキュリティを見てもらう相手が、まだ決まっていません。

資格を持つ人は増えていると聞きます。もう少し待てば、頼みやすくなる。そう考えて先送りにすることがあります。

8,282名が登録して、増えたのは4,820名

ここで見るのは、アンケートではなく登録簿の全数です。IPAは国家資格「情報処理安全確保支援士」の登録者数を、半期ごとに公開しています。2026年4月1日時点で26,453名(IPA、情報処理安全確保支援士登録者について 2026年4月1日時点、2026年4月15日公開)

さかのぼれるのは2023年4月1日時点までで、3年で7回分あります。

3年で登録した人数と、増えた人数 2023年4月1日から2026年4月1日までの3年間に新しく登録した人は8,282名。しかし登録者総数は21,633名から26,453名へ4,820名しか増えていない。差の3,462名は登録が続いていない。 情報処理安全確保支援士の登録者(2023年4月から2026年4月まで) この3年で新しく登録した人 8,282名 登録が続いている 4,820名 続いていない 3,462名 入った人の41.8%は、登録が続いていない

2023年4月1日時点は21,633名でした。そこから2026年4月1日までに登録は6回あり、新しく登録した人は合わせて8,282名です(同登録者情報、2023年10月1日時点から2026年4月1日時点までの新規登録者数を当社が合計)

起点の2023年4月1日に登録した1,152名は足していません。その日の総数21,633名に、すでに入っているためです(同登録者情報)

総数は増えています。21,633名から26,453名へ、22.3%です(同登録者情報を当社が計算)

ただし増えたのは4,820名で、新しく入った8,282名には足りません。差の3,462名は、登録者ではなくなっています。入った人に対して41.8%です(同登録者情報を当社が計算)

この差の内訳は、原典に説明がありません。失効なのか、本人の届出による消除なのか、義務違反による取消しなのかは分かりません。

ただ制度の側は書かれています。登録の有効期限は3年で、更新するには毎年の講習を全て修了している必要があります。オンライン講習3回と、実践講習1回です(IPA、登録更新について、およびよくあるご質問Q3-1・Q3-3・Q3-5)

更新しなかった場合はこうなります。「登録更新申請期限までに登録更新申請されなかった場合、更新期限の翌日付で資格失効となります。なお、更新しない場合においても試験合格は有効です」(同よくあるご質問、Q3-5)

試験に受かったことは消えません。消えるのは登録のほうです。

合格した三人のうち、登録しているのは一人

試験のほうは増えています。令和7年度の情報処理安全確保支援士試験の合格者は7,333名で、3年前の令和4年度は4,913名でした(IPA、情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表、令和8年4月21日現在)

そして合格に期限はありません。「登録の期限はありません。また、登録しないことにより試験合格が無効になることはありません」(IPA、よくあるご質問Q2-2)。何年前に受かっていても登録できます。

この試験が始まった平成29年度から令和7年度までの合格者は、累計46,676名です(同推移表、「情報処理安全確保支援士試験計」新制度累計。各回の合格者数を足したものです)

試験に合格した人と、いま登録している人 情報処理安全確保支援士試験に平成29年度から令和7年度までに合格した人は累計46,676名。そのうち、2026年4月1日時点でこの試験の合格を根拠に登録している人は15,962名で、三人のうち一人にあたる。 情報処理安全確保支援士試験に合格した人と、いま登録している人 試験に合格(平成29年度から令和7年度まで) 46,676名 うち、いま登録している人 15,962名 合格した三人のうち、登録しているのは一人

一方、2026年4月1日時点の登録者26,453名のうち、この試験の合格を根拠に登録している人は15,962名です(IPA、登録者情報 2026年4月1日時点の内訳)。残りは旧試験からの登録で、そちらの受付は2018年に終わっています(IPA、よくあるご質問Q2-16)

合格した46,676名のうち、いま登録しているのは15,962名。三人のうち一人です(当社が計算)。合格していて登録していない人が、3万名います。

だからこの名簿は、セキュリティが分かる人の名簿ではありません。登録しているかどうかで分かるのは、その名称を使えるかどうかです。「登録をしないと、『情報処理安全確保支援士』の名称を使用することはできません」(同よくあるご質問、Q2-2)。IPAもこの制度を「資格保持者のみ資格名称を使用可能(名称独占資格)」と説明しています(IPA、制度のしくみ)

頼めるのは、手を動かすことではない

この資格でできることは、法律に書かれています。「サイバーセキュリティに関する相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行う」、そして「必要に応じその取組の実施の状況についての調査、分析及び評価を行い、その結果に基づき指導及び助言を行う」ことです(情報処理の促進に関する法律 第三条。IPA、登録セキスペの人材像に抜粋)

相談を受けて、見て、言う立場です。手を動かして直す人だとは書かれていません。

そうすると、頼めるのは見て言うことだと分かります。手を動かして直してもらうのとは別です。

見てもらう対象が決まっていなくても頼めます。何を見るかを決めるところから相談する形もあるためです。決まっていないと進みにくいのは、決まった対象を定期的に見てもらう形のほうです。

明日からできること

待つ理由はありません。相手はもういます。試験に受かった人は46,676名で、毎年増えています(IPA、推移表)

そして情報処理の促進に関する法律には、登録していない人がセキュリティの相談や助言をすることを禁じる規定がありません。同法が禁じているのは、登録していない人が「情報処理安全確保支援士」と名乗ることです(同法第二十四条。違反は30万円以下の罰金、同第七十八条)

だから書くのは、自社の何を見てほしいかのほうです。

  • どのシステムを見てほしいか
  • どのくらいの頻度で見てほしいか
  • 何が起きたときに連絡してほしいか

これは相手が誰であっても要ります。登録している人にも、登録していない合格者にも、いまの委託先にも、同じものを渡せます。

そして登録の有無で絞ると、合格していて登録していない3万名が見えなくなります。登録の有無は、いま何ができるかの答えにはなりません。